2017/08/30

黄色い空を見つけた、木漏れ日もなく。




黄色い空を
見つけた。
まばゆい。
それはとても。
木漏れ日もなく。

計り知れないほどの
産声。
悲劇の
終わり。

けれど。
これは入り口。
巡り来る修羅の
入り口。

そうだ。
ぼくは遠くへと。
甘いドーナッツを
投げよう。

遠くにいる誰かが。
幾つにも千切って。
それを、また
どこかへと投げる。

やがて。
甘いドーナッツに。
かぶりつく、それは。

秋。

秋。
小さなかけらを。
反転する銀河の
手のひらに
乗っけて。

生きている間に。
叶えられるほどの。
そんな小さな夢のかけらを
乗っけて。

だから。
ぼくは、その。
甘いかけらに
かぶりついた。

黄色い空を
じっと見つめて。





2017/08/23

村人たちの声が聞こえる。




すべての真実を忘れても構わないくらいに
太陽の眼差しは今輝いている。
冷たくなった光線も
君たちの体内で
静かに煙を上げてゆく。

風が踊る。
青草の匂いがする。
村人たちの嘆きの声が聞こえる。

「海の向こうで鳴く鳥やい。
 もうこっちに戻ってくるんでねぇぞ。
 俺らお前たちを見つけたら
 きっとお前たちを食っちまう。
 食いたかねぇけど食っちまう。
 お前らの住処はここでねぇ。
 もっと綺麗な街に行きゃあ
 きっとお前たちものびのびできる。
 小洒落た都会人はお前たちが愛くるしいさ。
 ここにゃそんなやついねぇ、あぁいねぇ。
 気取ってる間にやられちまう。
 おっかねぇこった、おっかねぇこった。
 慣れないことぁするもんでねぇ。
 おいらの先祖もそういっとる。
 おっかねぇこった、おっかねぇこった。
 お前らも気をつけて海渡れ。
 渡った後も気をつけろ。
 辛抱強く生き延びろ。
 胸三寸に収めとけ。」

村人の影が
ぼんやり霞んで消えてゆく。
錆び付いたカーブミラー。
ゆがんだ境界線に飛び交う夕焼け。
捨ててあるラヂヲが夜を告げる。
まだこんなに明るいのに。
まるで今日から逃げたいかのように
彼らは慌てて時計の針を進める。

黙っていても
君たちはいずれ消えてしまうのに
彼らはどうして急ぎ足で進もうとする。
彼らには君たちが必要なのに
どうして彼らは君たちを手放そうとする。

目的地を見誤れば
どんなに素晴らしい風景も
ただの目障りな障害物でしかない。
ぼくは何度もそうやって
鬱蒼とした森の奥深くで
不気味な風に襲われてきた。
そうしてまた元の場所へと
引き返すしかなかった。
それでいて輝かしい君たちが
それぞれの道の途中で
どんなに雨に打たれても
倒れずにいることを
遠くで見守るしかなかった。
だからぼくは
君たちに向かって
ただサイコロを投げているだけの
祈祷者だ。

「おーい、お前たちやい。
 向こうにまで行って
 食われちまうんでねぇぞ。
 あぁおっかねぇこった、おっかねぇこった。」

村人たちの声が聞こえる。



2017/08/16

Modern Street Light






道ゆく人々に
表題はない。

すれ違って
(雲のように)
ぶつかって
(風のように)
また
(夢のように)
すれ違う。

この
駆け巡る情景に
ぼくは
いつか
泣く。

空想ではない、から。
ぼくは
泣く。

雷鳴は
 古代の音を
 響かせる
鳥たちは
 罪を犯しても
 羽ばたける。
蜜蜂は
 花に刺を隠して
 実を生らす

ぼくは、、、
薄明かりの中
船人たちに
手を振った。
声も上げずに
手を振った。

「やあ、Modern Street Light 。
 ぼくは、
 この街を流れる
 歴史に逆らえない。」

けれど
きっと
あの中の誰かは
笑ってる。
暗がりの中で
ぼくを見て
笑ってる。

そうだろう
Modern Street Light 。
ぼくは
今はまだ
そんなところでいいんだ。







2017/08/08

たったいま、橋を渡った。




宇宙に浮かぶあちらの月と
水面に浮かぶこちらの月は
わたしのこころに
同じでしょうか。




2017/08/04

ただ ぼうっと 手を振ろう。






そこには誰もいなくとも
ただ
ぼうっと
手を振ろう。

出会いのためでも
別れのためでも
生きているもののためでも
死んでいったもののためでも

、、、なくて。

ただ
ぼうっと
手を振ろう。

この手のひらが
透明になるまで、、、

ただ
ぼうっと
手を振ろう。



2017/08/02

バラバラになっていたものが 夜明け前や日暮れのように。






コップに水を注ぐ時
バラバラになっていたものが
夜明け前や日暮れのように。

一瞬なにかと離れては
再びなにかと繋がるものを
そこに憐れみなんてあるはずもないのですが
季節のバトンのようなものを
不意に感じてしまうのです。

いったいなにが現れて
巡行線の雲の境から
彼らを導いてくるのでしょうか。
やはりぼくにはわからないのです。