2017/03/19

夏風のデザイン



遠くの方でいくつかの灯火がね
きらきらと色づきながら
もの憂げに閃いているんだ。
ぼくはいつもその道をあるいているから
この景色は見慣れているはずなんだけど
なぜだかその度に新しくて
その度に懐かしく思えてくるんだ。
その光は
ぼくの目の前に立ち並んでいる枝木の
美しい造形によって遮られている。
でもね
これがあるおかげで向こうの光は
ぼくが前に進むにあわせて
ちらちらと乱反射するように点滅してくれるんだ。

そして地面を見てみると
いまやそれはアスファルトの
名前の無い道ではないんだからね。
この湿った風は本当に素晴らしいデザイナーだよ
この道のあちこちには余すところなく
無数の木の葉や花びらが
ぴたりと張付いているだろう。
ぼくはね、この道を踏みしめれば
今まで沈んでいた重たい気分なんかも
きれいに拭い去ってもらえるんだよ
ここを踏みしめれば踏みしめるほど
ぼくはこの道の甘酸っぱさや淡い苦さなんかを
口の中いっぱいに楽しむことが出来るんだよ
それもこれもこれらの木の葉や花びらが
こうやって横たわってくれているおかげでね
ほんとに最高のデザイナーなんだよ。