あすになれば 優しい声で わらうよに この街もきっと わかってくれるさ
2017/04/02
藍鉄鉱
「願わくば、藍鉄鉱になりたし」
前頭葉にせせらぐ言葉の波は
細胞膜に遮られながらも
細胞膜に遮られながらも
息苦しいこの部屋の片隅に吐き出される。
傍らに置かれたハサミをギロっと睨んでから
重たいペットボトルの液体を喉へと詰め込む。
「あなたもきっとそういうことなのですね。
奴隷制の歴史をとうとうご覧になったのでしょう。」
机と壁の隙間から不気味な声が低く響いた。
「あなたもきっとそういうことなのですね。
奴隷制の歴史をとうとうご覧になったのでしょう。」
机と壁の隙間から不気味な声が低く響いた。
無人の偵察機のようだった心持ちも
いまや誰を殺すこともできずに斃れた交戦者のよう。
もしくは無残にも落陽せずに闇を迎えた空のよう。
あれも欲しいこれも欲しいという人には
例えば全てを与えてみよ。
始め一切に胸を踊らせて安楽だった彼も
一つの季節を越える時を待たずとも
次のごとき行為に自らを駆り立てるであろう。
すなわち
大いなる海洋に自らのその宝石のような躯体を
「ああ、わたしは不死鳥にてあらん!」
と喚きながら投げ出すであろう。
またすなわち
傍目から見ればあまりにも不足な暮らしをしながらも
彼自身にとっては特に何も気にすることもなく
むしろ人が満足するところのものを
その半分よりももっと少ない量で満足するような
そんな幸いなる不幸者を
「わたしに姿を見せるな、劣等者よ!」
と喚きながら殺してしまうであろう。
カーテンを閉め切ったこの部屋で
朝と夜の区別もつかず、昨日と今日とに境界線も引けず
古びた蛍光灯の明かりにわかりきった明日を照らすのは
誰がそうさせるのでもなくてそれはやはり
何かが滅びる時の匂いとはどんなものだろうか。
生臭いか、焦げ臭いか、酸っぱいか、苦いか、いや甘いか。
生臭くとも喜ぶ人はいるでしょう。
それは焦げ臭くとも、酸っぱくとも、苦くとも同じでしょう。
しかし甘くともそれを嫌う人もいる。
まるで純真な子を蹴り飛ばすかのように。
問い詰められている。
誰に、何を?
誰もいないのに?
ともすれば死者が?
いいえ、彼らは選り分けます。
この部屋の住人を選びはしない。
しからばなおさら誰によって?
ペットボトルの液体はもう飲み干した。
しかしこの部屋の住人はこう言うのだろう。
飲み干した液体をもう一度満たしたい。
闇が覆った光にもう一度照らされたい。
あのうつしい人にもう一度会いたい。
あたたかきものに強く抱かれたい。
それはあまりにも切実なほどに。
ああ、それは叶わない。
いや、むしろ叶う。
でも、だからこそ叶わない。
つまりそれは叶う、、、
こんなことばかりを繰り返しているのだ。
廻ることしか知らない天体のように。
野良猫が鳴いている。
勘違いではなかった。
以前聞いた声と同じだ。
「甘いケーキはいらない。」
そんな風に鳴いている。
「苦い労働もいらない」
そんな風にも聞こえる。
「お前はどちら側に立つか。」
そう、それを待っていたのだ。
だからわたしはこう答えるのだ。
「願わくば、藍鉄鉱になりたし」と。
古びた蛍光灯の明かりにわかりきった明日を照らすのは
誰がそうさせるのでもなくてそれはやはり
何かが滅びる時の匂いとはどんなものだろうか。
生臭いか、焦げ臭いか、酸っぱいか、苦いか、いや甘いか。
生臭くとも喜ぶ人はいるでしょう。
それは焦げ臭くとも、酸っぱくとも、苦くとも同じでしょう。
しかし甘くともそれを嫌う人もいる。
まるで純真な子を蹴り飛ばすかのように。
問い詰められている。
誰に、何を?
誰もいないのに?
ともすれば死者が?
いいえ、彼らは選り分けます。
この部屋の住人を選びはしない。
しからばなおさら誰によって?
ペットボトルの液体はもう飲み干した。
しかしこの部屋の住人はこう言うのだろう。
飲み干した液体をもう一度満たしたい。
闇が覆った光にもう一度照らされたい。
あのうつしい人にもう一度会いたい。
あたたかきものに強く抱かれたい。
それはあまりにも切実なほどに。
ああ、それは叶わない。
いや、むしろ叶う。
でも、だからこそ叶わない。
つまりそれは叶う、、、
こんなことばかりを繰り返しているのだ。
廻ることしか知らない天体のように。
野良猫が鳴いている。
勘違いではなかった。
以前聞いた声と同じだ。
「甘いケーキはいらない。」
そんな風に鳴いている。
「苦い労働もいらない」
そんな風にも聞こえる。
「お前はどちら側に立つか。」
そう、それを待っていたのだ。
だからわたしはこう答えるのだ。
「願わくば、藍鉄鉱になりたし」と。
ひとりごと
眼をつむっているだけの
こんなわたしにも朝は来ようか
自分で自分を笑うだけの
こんなわたしにも朝は来ようか
人を殺してばかりいる
こんなわたしにも朝は来ようか
どうせもうすぐ死ぬはずだった
こんなわたしにも朝は来ようか
いまのわたしは
わたしにも朝が来るかどうかを
試すためだけに生きています
わたしはわたしが殺した人たちから
おはようと言われているのに
わたしはわたしが殺した人たちに
おはようと言ってやれない
こんなわたしにも朝は来ようか
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つめたい音 の 降った なら この世の中 には あり、余る。 あついお湯 とか ミルク とか あげる、や 欲しい、も あり、余る。 いなくなったり まだいた り。 「それは雪。 これはわたし。」 いまはどちらも いりません。