2017/05/29

声だけ


微熱のような朝風が
わたしを揺さぶっています
眠る世界で小さく膨らんできた心の中に
わたしをまた酔わせるような
強いアルコールを見つけました


どうして?
どうしてその美しい声だけしか
聞いてはいけないのですか?
あなたはどうして姿を
わたしには見せてくれないの?

塵も埃も
霧の一粒一粒にかき抱かれては
潤いながら漂っています
十重二十重の不思議な歓びの光が
遠くで次々に生まれてきて
物憂げな気持ちでいるわたしの足元に
優しく寄り添ってくれています
あなたのささやきが
全て余すところなく

優しく伝わってきます

やがて羽ばたく鳥たちをみました
甘い実を口に含んで
息を揃えてしなやかに踊っていました
弱々しく灯っていた街灯の明かりも

あっという間に消えてしまいました
あっという間に

ほんとうにどうして
風はいつもあんなにもかるがると
幾つもの雲を吹き払って
暗い気持ちを、また、あの憂鬱を
消してゆくのですか