忙しない鳥のさえずりも
子守唄のように心地よく聞いた。
夢で出会った乱暴な孤児たちには
小さなえくぼを授けようとした。
戸惑いや悲劇の人影が生まれてゆくのも
やはり見過ごすことなどできずに
自分の痛みのように受け取ろうとうずうずしていた。
まるできみは晴天の太陽に憧れる眼差しそのものだ。
それも嫉妬がいっさい手を上げないほどにまっさらな憧れだ。
けれど、ほら見てくれ、ぼくの吐息は白くて冷たいままさ。
いったいいつになったら暖かくなるのだろう。
きみは遠くで燃えさかる宇宙に打ちのめされてしまった。
迫り来る大火事のなすがままだった。
それなのにきみは被虐趣味でも持っているかのように
平気そうにして笑っている。
だから逃れるどころかますます飼いならされて
苦しみのすべてを受け入れてしまいそうになっている。
ああ、もしもきみが天性の役者ならぼくはお礼を言うよ。
それは喜ばしい裏切りなのだから。
けれど役者がどんなに素晴らしい演技をしたところで
脚本がそれを全て台無しにしてしまうこともある。
いったい誰の手でつくられたのだろう、きみの脚本は。
(ぼくが演じるとすれば
それはきみに毒薬を渡す死神だ。
ぼくはきみが消えてゆく様子を一番近くから観賞したい。)
不意にぼくは心配になった。
その予感が当たってしまうような気さえするから。
もしもきみの心の花束が暗闇に囲まれて
そこにほんのわずかでも光の雨が降り注いだなら
(それはきっとぼくの目をも欺くほどの美しい絵になる。)
きみはその宗教画をなんとしてでも守り抜こうとするだろう。
けれどそのために却ってきみは
悪意なき誰かを傷つけてしまうのではないだろうか。
その時ぼくときみとの間にはひとつの悲劇が生まれる。
でもぼくらはそれを墓場まで運ぶ術を知らないし
誰かが見つけてくれる前にきっと朽ち果ててしまう。
ああ、どうして涙にもならない苦悩に価値があるのか。
(きみはぼくを殺すかもしれない無邪気な動悸を
決してみずから止めようとはしない。
きみはなにかを救おうと思うあまり
自分への救いを求めてしまった)
ぼくはふと後ろを向きながら歩いた。
すべてのものが遠のいてゆく。
がらんとしたこの道にただひとり。
ぼくを追いかけるものは何もない。
前を向くと再びぼくは何かに導かれてゆく。
ぼくはもう何も追いかけていないはずのに。
ただ目に映るものを見ているだけだ。
ほら、夜空には今日も巨きな星がある。
こんなにも美しい銀河の中に。
ぼくもいつまでもここにいるつもりさ。
けれども冷たい夜よ、どうしてお前は
ぼくの吐息をこんなにも白くした
ああ、すべての愛おしい天の輝きたち、さようなら。
ぼくは一刻も早く本当の温もりに包まれようと思う。
ぼくはふと後ろを向きながら歩いた。
すべてのものが遠のいてゆく。
がらんとしたこの道にただひとり。
ぼくを追いかけるものは何もない。
前を向くと再びぼくは何かに導かれてゆく。
ぼくはもう何も追いかけていないはずのに。
ただ目に映るものを見ているだけだ。
ほら、夜空には今日も巨きな星がある。
こんなにも美しい銀河の中に。
ぼくもいつまでもここにいるつもりさ。
けれども冷たい夜よ、どうしてお前は
ぼくの吐息をこんなにも白くした
ああ、すべての愛おしい天の輝きたち、さようなら。
ぼくは一刻も早く本当の温もりに包まれようと思う。
ぼくはきみが空をじっと見つめる姿を見てこう思った。
きみの見つめる空は決して新しくも古くもなることはないが
空に見つめられるきみはやはりそうではないのだと。
(敬虔でありさえすればきみも生まれ変れるだろうか。)
きみは果てしないものに答えを見いだそうと必死にあがいている。
ありきたりな存在から抜け出そうと企てている。
ぼくらは何かが生まれたり死んだりする理屈を
同じようにわかり合うことができる。
けれど生と死についての意味や目的をわかり合うのは
とても難しい
今のきみとは特に。
今のきみとは特に。
だからぼくらは
本当に夜が明けるまで
本当に夜が明けるまで
静かに寝返りを打てばいい