2017/07/13

ぼくは幾つもの遠吠えに囲まれて




鳥の鳴き声が聞こえれば
ぼくはまさらな朝になる。
風が葉衣を揺らすなら
ぼくは小さな虫になる。
雲がこがねに色付けば
ぼくは夜道を照らすだろう。

もしもぼくがひと粒の
氷晶のように透明な
この真っ暗闇を知らなかったら
こんな偶然の堆積物でさえ
きっと何かのオブジェとすり替えて
遺灰のような幻影の中で
死なない夢でも見ていただろうか。
満月が崩れる頃の美しさに
喉をカラカラに枯らすまで
咆哮することもなかっただろうか。

柔らかな心の毛糸よ。
ぼくはいつまでも君を縫いつづり
きっと途方もない宇宙を描きあげる。
だから僕らは追いかけよう。
形を変えてゆくいくつもの星たちを。
不変を知らない偶然を。