空は晴れ渡っている。
二本の電線の間には真っ白な有明の月が凛と輝いている
雲は一つもなく、言いようのないくらい落ち着いた水色だ
遠くからか近くからか、鳥たちが可愛げに鳴いている
車の音が慌ただしげに聞こえてくる、遠くのほうから
風はとても澄んでいて清らかで美しい、そして冷たい
この風の香りは、小鳥の声とともにこの部屋のもやをすべて洗い落とす
ぎしぎしと雪道を踏み行く足音、月の場所が少し変わった
いのちのこだま、空を彩るのは淡く、柔らかい諧調
街灯が消えるのが早い、もうすべて消えている
本当に穏やかな風だ
電線や木の枝や葉は少しも揺れていない
なにものも風音に遮られることなくこの部屋に届いてくれる
月を見ると、もうあの二本の間からは抜け出していた
細く繊細な月だ、触ればかならず粉々に砕けてしまうだろう
からすたちが影のように飛び去ってゆく
遠くが燃えてきた、突然現れる炎のつるぎ、光のつるぎ
半分しか見えていないのに、なぜこんなにも眩しいのだろうか
月がもう完全に窓枠からはみ出そうとしている
直視することはできない、顔の半分は燃えているのに
生まれる影、影が生まれる
この一瞬にかぎってはなんの煩いもなくなるのだ
月の色はもう輝いてはいない
もう主役ではなくなってしまった
西の空にのぼる太陽に敵うはずなどないのだ
形容しがたい空の色だ、今日の朝は。
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