2017/03/16

超新星爆発



日射しを浴びるのも忘れて
風に吹かれるのも忘れて
花の匂いも忘れて
人の名前も忘れて

わたくしは100円で買われる
ストラップのように無表情で
たった壁一枚を隔てただけの
向こう側の世界についてすら
なにも分からず沈黙したまま
壊れやすい操り人形としての
有限なタイムラインの残滓を
これからも守り抜くことなど
到底できそうにございません。

燃えるような太陽を浴びれば
溢れんばかりの希望を見いだし
海底にさえ渦巻く風に吹かれては
途方もない営みに胸を躍らせ
密やかに充満する花の匂いには
頬の溶けるような恍惚を感じ
人々の名前を呼び合っては
迷いなく生きていけるような
そんなあきれるほどに
鮮やかな、感動的な、爆発的な
そういうわたくしが
もうじきやってくるのです。

でなければ
わたくしの胸の底に巻き起こる
この神秘的な、あまりに神秘的な超新星爆発は
起こるはずがなかったのですから。





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